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蓑毛㊀鍛冶屋の歴史

 寛政8年(1796 江戸中期)以前創業。寛政年間に相良藩主の命を受け相良藩表鍛冶として鍛冶屋町から現在の場所

西町(現:人吉市紺屋町)へ居を構える。代々、野鍛冶(鎌を主とする農山林道具を造る鍛冶屋)として現在まで約250年間地域に根ざした鍛冶業を営んできた。

 しかし残念ながらしっかりとした蓑毛㊀鍛冶屋の歴史は文献記録として残ってない(何度も氾濫した暴れ川球磨川の洪水や、火事でなくなる)。それでも祖父や父に小さい頃から聞かされたご先祖様の昔話や大切に守られてきた古いお位牌、いつも見守ってくれる遺影、ご先祖様の希望で人吉が見渡せる山の上につくられた一人一人の古いお墓、お客さんが今でも修理に持って来られる曽祖父が造った古い鎌、その曽祖父から技を受け継ぎ中学卒業後から腕一本で70年もの間家を支えてきた祖父、その祖父が認めた父、そんな二人の背中を見て育った私は小さい頃からご先祖様を身近に感じ鍛冶屋ってカッコイイと思い幼稚園を卒業する頃の将来の夢は『包丁屋さん(鍛冶屋)』と書いている。

 このように自然にシンプルながらも奇跡的に現代まで蓑毛鍛冶屋の歴史が紡がれていると大人になり継いだ今感じている。

 林業が盛んだった頃は鍛冶屋も繁盛し球磨人吉に60件近くあったという鍛冶屋も林業の衰退と共に減り現在は8件となった。食べていくだけで精一杯で明日食べるのも心配という大変苦しい時代を何度も家族で乗り越えてきたという。そんな大変な時、先代方を理解し側で支えてきた奥さん方や家族、そして何より必要としてくださるお客様地域の方々がいて今の蓑毛㊀鍛冶屋は奇跡的に存在する。この奇跡(軌跡)が途切れることなく後世まで繋げていけるよう今日も真面目に一生懸命鎚を振り火を絶やさずここ人吉で鍛冶屋を営んでいきたい。

歴代名簿

初代  市右衛門

 ~寛政8年12月28日

二代目 浅右衛門

 ~天保14年1月10日

三代目 庄七

 ~明治4年8月21日 67歳

四代目 庄七(先代襲名)

 ~明治8年12月12日 45歳

五代目 常作

 ~大正12年4月23日 68歳

六代目 友作

 ~昭和19年2月6日 73歳

七代目 功

 ~昭和41年1月26日 63歳

八代目 裕

 令和4年3月現在87歳 鍛冶屋歴72年

九代目 稔

 令和4年3月現在59歳 鍛冶屋歴41年

​十代目 勇

 令和4年3月現在34歳 鍛冶屋歴5年 

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